生きる力で地域を育てる〜福祉教育・福祉体験プログラム
高校生福祉体験学習〜はまゆうキャンプ〜

平成12年度の『はまゆうキャンプ』
本年度は別記の日程で実施した(フローチャート参照)。
初日は、開会式の後、職員紹介があり、施設内の案内があって配置につくことになる。
高校生はみな緊張している。これから始まる福祉体験学習に対する不安からなのだろうか。 しかし、最終日を迎えた顔を見ると、高校生たちは、主催者側が考えていた以上に、 多くのものを自分のものにしているのではないかと思っている。

施設での活動
キャンプ生は、施設でいろいろな活動をする。当初は、どうしてもぎこちない。 最近の高校生は核家族化の影響かお年寄りと接する機会が少ない。どう接していいのかわからない。 障害者にしても、街で見かけることはあっても、接することはお年寄りよりもさらに少ない。 小さな子どもに接する時もこわれものに対しているようにしている。以下、各施設での活動風景を追ってみよう。

  • 高齢者施設にて
    施設職員と体位交換やシーツ交換をしているときは、施設職員に教わりながら、時折、笑顔を見せている。 なかには、お年寄りに話しかける余裕のあるキャンプ生もいる。清拭やおむつ交換のお手伝いをすることもある。 後で、「あんときはどきどきしちゃった」などと言いながら、屈託なく話をしている。

    お年寄りの話し相手の時間がある。だいぶ戸惑うようだ。何を話していいのかがわからない。話し始めてもすぐ話が途切れてしまう。 お年寄りの昔ばなしが出れば楽になる。お年寄りのほうでいろいろ話してくれる。けれどもそういう人ばかりではない。 寡黙な人もいて苦労するらしい。お年寄りのほうでキャンプ生のことをいろいろ聞いてくることがある。キャンプ生は、多くの利用者に 接して、いろいろなお年寄りがいることを実感する。

    施設の調理場にも入る。今の高校生は、家ではあまり台所仕事をやっていないのか結構大変なようだ。 玉葱を小さく刻んだりミキサーにかけたり。家の調理とは勝手が違ったようだ。状態がそれぞれ達うので、 食事も、普通の食事、飲み込みやすいように小さくする。お粥状にする。流し込むように する、などいろいろだ。

    食事介助がまた一仕事だ。難しい。口に入れるタイミングが難しい。もう飲み込んだかなと思って口のそばにスプーンで 持っていくと口を開かない。ややしばらくたって、またかみ始めたりする。黙って食べているのもおかしいかなと思って 「おいしいですか」と話しかけてみたとのことである。キャンプ生もただ実習をしているのではなくいろいろ考え、工夫をしている。


高校生福祉体験学習
(はまゆうキャンプ)フローチャート

5月初旬 ○横須賀市、横須賀市教育委員会に後援依頼
○広報課に記事掲載依頼
○ポスター、パンフレット作成、印刷
5月17日(水)  第1回打ち合わせ会(平成12年度実施計画について)
5月30日(火)  市内全高校、協力施設へポスター、パンフレット等配布
6月14日(水)  募集締切り期限(学校内での締切り)
6月16日(金)  参加者名簿提出期限
6月30日(金)  第2回打ち合わせ会(施設割り振り、参加状況等)
7月3日(月)7月4日(火)7月5日(水)

衛生試験所への検便提出日
7月18日(火)  第1回はまゆうキャンプ参加者説明会
7月19日(水)  第2回はまゆうキャンプ参加者説明会

(内容)
体験学習趣旨
説明施設の概要
プログラム説明
体験学習中の注意事項
7月26日(水)7月27日(木)7月28日(金)

第1回はまゆうキャンプ
8月2日(水)8月3日(木)8月4日(金)

第2回はまゆうキャンプ
8月初旬 協力施設へのお礼まわり
9月初旬 今年度の反省会
  • 障害者施設にて
    キャンプ生は緊張している。こんな形で障害者と接したことはないのだから当然だ。施設の職員の誘導でそれが少しずつ 変わっていく。心の中では緊張しているのかもしれないが顔は柔和になっていく。利用者との距離がだんだん小さくなっていく。 障害者施設では、主に生活訓練の介助、作業訓練の介助、施設内の清掃に取り組む。

    運動は一緒に行う。職員の指示に従って、利用者もキャンプ生も一緒に行う。キャンプ生が、できない人のサポートをする。 それがとても自然にうつる。両者が少し笑みを浮かべてごく自然に動いている。

    最後の日、施設の畑で、作業訓練があった。利用者とキャンプ生が一緒になって利用者が育てたトマトやモロヘイヤなどを取った。 利用者もキャンプ生もとても楽しそうだった。ごく自然にうちとけていて、いい関係になったなと思った。

    キャンプが終わって、修了証を手渡す時、キャンプの感想を話してもらった。「キャンプを体験してよかった」「とても勉強になった」 「ボランティアでまたやりたい」「福祉の仕事に進みたい」などの意見があった。泣いて言葉にならないキャンプ生もいた。 感動が大きかったのであろう。

    高校生の目は、施設の職員にも向いていて、仕事が大変厳しいにもかかわらず、毎日、やさしい態度で接することができるということは、 素晴らしいことと言う。仕事というより、使命、人間として当然であるというようだった。キャンプ生はこの点でもよい勉強をさせてもらつた。

  • 保育園にて
    保育園の場合もキャンプ生は緊張していた。市社協の職員が初日の活動を写真に撮ろうとしたが、あまりに顔がこわばっていていい 写真にならないからやめたぐらいだ。いくらかわいいといっても、あまり扱ったことのない小さな子、緊張するのもわかる。 外で遊んだり、水浴びをしたり、お遊戯をしたり、食事を食べさせたり、一緒にお昼寝をしたりして、そばで見ていると楽しそうであるが、 なかなかそうではないらしい。

    外で遊んだ後は、汗を拭いてあげたり、汚れた手を洗わせたりしなければならない。お遊戯もみんなが揃うまでは大変だ。 食事の時も気をつかう。普段、接していないから加減がわからない。お昼寝の時間も気を許せない。起きだす子もいるし、 寝つきの悪い子もいる。すぐ寝つく子もいる。何人かの子をお昼寝させるのがこんなに大変だとは思わなかった、 キャンプ生が言っていた。

    男子生徒も参加していたが、女子生徒以上にこまめに園児の面倒を見ていたのが印象に残ると園長先生が話していた。

    将来保育の仕事を居坊する生徒がいた。「はたで見ているほど楽ではないことは分かったが、楽しさもわかったから、 やはり保育の仕事をめざす」とのことであった。


元に戻る